神経ブロック・
トリガーポイント注射
による痛みの治療
Nerve block, trigger point injection
神経ブロックについて
神経ブロックとは、麻酔を用いて痛みを緩和させる治療です。用いることで、急性期には炎症や強い痛みを和らげてリハビリを開始しやすくし、慢性期では神経の過敏状態をリセットし、運動療法・日常生活指導を組み合わせて改善を図ります。
治療の目的
- 痛みの伝達を遮断して症状を緩和する
- 血流改善により組織修復を促す
- 痛みによる悪循環（筋緊張・交感神経興奮）を断ち切る
使用する薬剤
- 局所麻酔薬（リドカイン、サリチル酸ナトリウム・ジブカイン配合剤、ロピバカインなど）
- 必要に応じて副腎皮質ステロイド薬を併用し、炎症を抑制
1
頚部・上肢
星状神経節ブロック
頚部交感神経節を遮断。頭痛、顔面痛、肩こり、上肢の血流障害、帯状疱疹後神経痛などに有効。
頚神経根ブロック
頚椎症性神経根症、頚椎椎間板ヘルニアによる上肢の放散痛を緩和。
腕神経叢ブロック
四肢手術後の疼痛や外傷後の慢性痛に応用。
2
胸部・体幹
肋間神経ブロック
肋間神経痛、帯状疱疹後神経痛、胸部手術後疼痛に有効。
硬膜外ブロック(胸部)
胸椎圧迫骨折や胸椎疾患に伴う体幹の痛みを軽減。
3
腰部・下肢
硬膜外ブロック(腰部・仙骨部)
広範な腰下肢痛に対応可能。疼痛コントロール不良の場合に実施。
坐骨神経ブロック
外傷後や慢性の坐骨神経痛に。
大腿神経・閉鎖神経ブロック
股関節疾患や大腿部の術後痛、神経痛に。
4
骨盤・仙骨領域
仙骨裂孔硬膜外ブロック
腰椎疾患や骨盤領域の痛み。
仙骨神経叢ブロック
骨盤内臓器の痛みや坐骨神経痛に対応。
トリガーポイント注射について
トリガーポイントとは筋肉の一部が硬くこわばり、圧迫すると痛みが出て、その痛みが離れた部位（関連痛）にも広がる“しこり”のような部分を指します。
トリガーポイント注射 は、この痛みの原因となっている筋肉の硬結部分に直接、局所麻酔薬や時に少量のステロイド薬を注射し、筋肉の緊張を緩めて痛みを改善する治療です。
治療の目的
- 筋肉の過緊張を緩和して、血流を改善
- 痛みの悪循環を遮断し、神経や筋の過敏状態をリセット
- 関連痛の改善（離れた場所に広がる痛みも軽減）
- リハビリやストレッチを行いやすい状態に導く
使用する薬剤
- 主に局所麻酔薬（リドカイン、サリチル酸ナトリウム・ジブカイン配合剤）
対象となる主な疾患・症状
- 肩こり、緊張型頭痛
- 腰痛（筋・筋膜性腰痛）
- 頚部痛
- 四肢の筋痛等
注意点
- 効果は一時的なこともあるため、根本改善には姿勢・日常生活動作の改善やリハビリが重要
- 注射部位に一時的な痛みや内出血が出ることがある